2008.10.31
事故を通じて知ったママチャリへの熱い想い
ママチャリを修理する為に、購入した自転車屋さんへ持って行った。
私のママチャリは中古のもので、近所の自転車屋の店先に値札をつけてたくさん並べられた内の1つだった。店に着くと、購入した時と同じように中古のママチャリが並んでいた。それを眺めていると、私がママチャリを購入した時のことが鮮やかに思い出された。
中国からたまに日本へ帰って来た時には短い期間中に忙しくあちこちへ行く事になる。そういう時に自転車があれば便利だなぁ、と思い買ったのがあのママチャリだった。それほどこだわる事もなく、日本にいる間だけに使うものだからと思って、店先に並べられた内の1つを適当に選んで、ホンのちょっと試乗してみて、まぁこれでいいかと思って購入したのだった。
そんなママチャリとその後、こんなに濃密な関係を築き上げることになろうとは思ってもみなかった。
ママチャリと私のお付き合いについては、このブログで書いてきた通りのものなんだけれど、私のママチャリに対する気持ち、もしくは自転車そのものに対する想いというのは、私の思い込みであって、他人には理解しがたいことなんだろうと思う。だからこそ私にとって譲れないものになっているのではないかとも思う。愛とは得てしてそのようなものだ。
今回事故に遇った後、タクシーの運転手は「古い自転車やからな、痛み賃も入れて3万円やるから、新しい自転車こうたらええがな」と私に吐き捨てるようにして言った。なんといおうか、言葉の端々に見下げたような、バカにしたような態度がありありと見られた。その言葉は私だけに向けられているのではなくて、ママチャリにも向けられていたような気がする。
私はタクシーにはね飛ばされてからも、心中冷静を守っていたのだけれど、その言葉を聞いてから激しい怒りを感じた。そして深い悲しみがあふれてきた。
なんといおうか、なんといえばいいのか、どうしてそんなに簡単にそんなことを言えるのだろう?私に向って、そして私の自転車に向って・・・こういう気持ちは他人にはわかってもらえないとわかってながらも、思わずにはいられない。
「いや、後輪が曲がっているだけですから。交換・修理します。領収証は後で持って行きますので、今はお金は要りません」
・・・と、相手にぶつけてしまいたい怒りを精一杯ガマンして、静かに落ち着いそう告げた。
運転手の目は「お前はバカか?」と言いたげだった。どうしてこんなボロのママチャリを?・・・と。
それでも、と何度も何度も運転手はしつこくお金を押し付けてこようとする。
気味が悪いので断り続け、「お金を今急いでもらってもどうしようもないですから。補償などについては後日また連絡します。」と言って逃げるように立ち去った。
弁護士に話を伺うと「その時お金を受け取らなくって良かったですねぇ~♪」とのことだった。
そこでお金を受け取っていれば、示談が成立したことになっていたらしい。書面を作らなくても、領収証がなくっても、相手がお金を受け取った時点で示談とすることができるそうだ。
知人に話を聞くと「それは連中の常套手段だから。ひっかからなくてよかったね」という。
そんなこととは関係なく、事故を期に自分のママチャリへの愛の深さを改めて知ったのは、思いがけない収穫だった。
著者/訳者:横井 久美子
出版社:労働旬報社( 1995-10 )
定価:¥ 1,890
Amazon価格:¥ 1,890
単行本 ( 195 ページ )




連投失礼します。
先ほどの記事の跡に、今回の記事を見て、私も激しい怒りの気持ちで一杯で、思わずコメントを。
>「古い自転車やからな、痛み賃も入れて3万円やるから、新しい自転車こうたらええがな」
とんでもない言い草ですよね!
金額とか以前に人としての常識を疑う発言だと思います。
怒りを通り越して、そんな人が存在していることが情けなくなってしまいます。
でも、その場で収めずに、まっとうな手順を踏むべくがんばった上海自転車野郎さんに拍手です。
Posted at 2008.11.1 2:18 PM by 港区民です
運転手の方のエピソードは今後改めて書こうと思うのですが、少しここで書かせていただくと、あちらさんは70歳をとっくに過ぎている、いわゆる「おじいちゃん」ドライバーでして、事故後はかなりの興奮をされていて、感情がかなり不安定になられておりました。幾つかの発言と状況から察して、その歳で仕事を失う事がとても怖いようでした。何度も何度も「金を受け取ってくれ!あとで大変なことになるんだ!会社に絶対に言わないでくれ!」と泣きつかれました。私が思うに、吐き捨てるようにして「古い自転車屋から3万円云々」というのも「会社に言わないでくれ」という泣きつきも、全ては彼の中の「怖れ」が、そうさせるのだと思いました。そのような「怖れ」は私の中にも確実に存在しており・・・仕事を失う恐怖とか、明日の生活が崩壊するかも知れない恐怖であるとか・・・私のこの数年の人生だって、その恐怖に脅かされ続けた毎日だったと思います。彼の暴言&泣き言は、その「怖れ」を目の前で見せ付けられたような気がして、私自身怖くなってきて、とにかく彼から離れたいというその一心で、ともかくその場を立ち去ったのでした。
先ほどメーラーを開いて、港区民さんからのコメントが届いているのを見つけて、コメントをお読みしたばかりなのですが、つい涙してしまいました。お会いした事のない方が、私の気持ちをわかってくれているのがうれしくて・・・それが他でもない港区民の方であることもまたうれしくて・・・。事故で弱った心がとても元気づけられました。ありがとうございました。
Posted at 2008.11.2 12:43 AM by 上海自転車野郞
ドライバーとしても人としても道に外れた行いを重ねた運ちゃんですが、冷静に、理解をもってむきあった上海自転車野郎さんはやさしい人ですね。
彼はこのまま運転手として仕事を続けてゆくつもりならば、認識を大きく改めなければならいと思います。
人生の先輩としてきちんと上海自転車野郎さんに謝るべきだし、欲をいうならば自転車に対しても認識を改めて欲しいところですね。
さて海外では「200時間の社会奉仕」などの判決が(別件ではありますが)でるといいます。彼は、何か自転車がらみの社会奉仕を通じて考え直す機会があればと思うのですが、逆効果でしょうか。
でもまずは、このブログを読んで、きみの愛を理解し、自分の犯した罪を反省することですね。
いくら生活があるとは言っても、アレをあのまま公道に出すのは野に虎を放つようなもの、次は誰が犠牲者になるかわかりません。彼が「恥」を忘れてしまうほど耄碌していないことを願います。
Posted at 2008.11.2 9:31 AM by かのう
今回の事件は何かと学ぶことが多く、自転車を毎日の足として使っている他の皆さんと共有して、今後に役立てて欲しいと思う事がいろいろとあります。私自身の記録の1つとしても、事件のあれこれを少しづつまとめて、ここに公開していこうと思っているのですが、1つの結論として今言えることは、私は今回たまたま被害者の側にあっただけのことであり、それは幸福なことだったということです(身体を痛め、自転車が壊れたことを除いては)。何か教訓めいたことを言って格好をつけようという気はないのですが、本当にそう思います。今はこうして利口そうなことを書いていても、もし私が加害側にあったら、どうしていただろうかと思うと、あまり自信が持てないのです。
彼は謝る必要がないと思うし、自転車に対しての認識を改める必要もないと考えています。歳を取ってから新たに何かを学ぶのは難しいし、人には向き不向きがある・・・彼と話していて何度も思わされました。何よりも自己保全を最優先してしまう彼のやり方には私ももう少し学んだ方がいいのかも知れません。あんまり嫌味っぽいことは書きたくは無いのですが(笑)。
今は自転車に乗るのが怖くなりました。今まであれこれ安全対策を考えて、実行してきたのに、それでも事故になってしまったわけですから。かといって自転車に乗らなければ「怖さ」が解決するのでもなく、現代を生きているからには何らかの交通手段を使う必要があります。今のところ、自転車以外を自分のメインの移動手段に変えるつもりはありません。
ともかく、今は自分の安全対策を全面的に見直しております。それもまた今後このブログで書いてみようと思っています。コメントありがとうね。
Posted at 2008.11.2 11:52 PM by 上海自転車野郞
こんにちわ、始めまして。
私のブログへの訪問、コメント感謝いたします。有難う御座います。
>「古い自転車やからな、痛み賃も入れて3万円やるから、新しい自転車こうたらええがな」
とても悲しい気持ちになりました・・・
物にも気持ちは有る。私達も愛着だってある。
どうして物を物としてしか捉えられないんでしょう。
でも怒りを抑えて常識有る対応をした
上海自転車野郞サンは素晴らしいと思います。
我が家では実家から貰って来たボロボロの自転車を
自分で何日もかけて再生させた愛着の有る
自転車が毎日の夕飯の買出しに活躍してくれています。
Posted at 2008.11.4 4:17 PM by みん
みんさん:
タクシー運転手は自分を守るので精一杯で、それで早くお金を渡して示談が成立した事にして逃げてしまいたかったのだと思います。でもそのためにあせってしまって人間としての醜い部分を隠す余裕もない・・・と私は思いました。私にもそれはあると思うのだけれど、私は被害者の側だったし、言われた時はものすごく悔しかったけれど、自転車への愛着が自分を支えてくれたような気がします。
ボロボロの自転車を再生すると愛着が湧きますね!私も修理から帰ってきた自転車をきれいに拭いてあげました。物を大切にする心は自分を大切にすることでもあると思いました。
コメントありがとうございました。
Posted at 2008.11.4 9:58 PM by 上海自転車野郞