2009.04.12
上海時代~ジャーナリストの回想(松本重治)
やなか珈琲店で豆を焙煎してもらっている間に、本を読んで時間をつぶす。今回の旅に持ってきたのは松本重治の「上海時代」全三巻である。
この本と私のお付き合いは16年前からにさかのぼる。北京に留学していた頃、読むものに不自由して、朝陽区の工人体育館そばにあった中国図書進出口総公司へよく日本語の本を買いに行った。その時にずっと気になっていたのがこの「上海時代」であった。
ところが当時の私に上海はあまり興味が無く、1930年代の日中関係であるとか、中国の状態についての予備知識も無いので、全くその内容がよくわかっていなかった。わかっていないながらも気にはなってはおり、でもやはり今は北京にいるのだから、先に北京について読んで、上海については後に回す事にしようと考えたのである。
そうこうしている内に、留学を終えて帰国し、それからもこの本は気になっていたのだけれど、なかなか買わずにいて、結局東京で働き始めて随分たってから、この本(中公新書のビニールカバーがかかっている版)が絶版になっていることに気付き、慌てて古本屋で購入して(3巻揃いで3600円くらいしたと思う)、それを書棚にしまいこんで、香港へ移り住む際に大阪の実家にダンボールにつめて送り、そのままにして忘れてしまい、それから5年経って、大阪の古書店で文庫版を見つけて衝動買いしてしまい、書棚にしまいこもうと思ったら新書版を再発見して(アホである)、それからはいつかは必ず読まねばならぬならぬと思い続けてようやく今回の旅で読み始めたのである。私にはこういう「君の名は」の真知子さんみたいな本がたくさんあって、どこかですれ違って、でも遠ざかってしまって、ずっと胸の内に思い留めながらも再会できず、そばにいても気付かず、別の本の中で引用に出てきて「ああ、早めに読んでおけばよかった!」と悔やみ、さて読み始めようと思っても、なかなか手に取ることができないままになっていることが多い。こういう本のことを今後「真知子本」(まちこぼん)と呼ぶことにしようと思う。
まだ上巻を半分読み進めた程度なので、感想を述べるのは早すぎる。また日を改めてこの本について書こうと思うが、少し書いておくと、解放前の中国、租界時代の上海、日中近現代史について興味のある人は何はともあれ読んでおいた方が良いと思う。現在上海に住んでいる人、これから住むかも知れない人にも必見であろう。分厚い本ではあるけれど、私みたいに真知子さん化する前に思い切って読んでしまうことをお勧めする。





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