2009.07.26
【POMORIE】ポモリエ(ブルガリアワイン)、そして北海道米キララの不当評価について
ポモリエ・・・ブルガリアのワインである。
酒はいろいろと飲んできたけれど、常飲しているのは白ワインである。大体夜9時を越えると頭が痛くなってくる。仕事が手につかなくなるので、酒を飲む。酒を飲むと頭痛は軽くなる。あまり強い酒を飲むと仕事にならない。ビールでは1回あけると残りを後日にまわすというわけにはいかないので不便である。だからワインを水で割って1本を1週間くらいかけて飲むことにしている。
元々私のワイン趣味は友人K直伝のようなものである。友人Kはイタリアンワインを好んで飲む男であった。その影響で辛い白ワインが好きである。90年代初頭というのは、いいイタリアンワインが何百円(500円前後?)で手に入った。何故かとても安かった。いいワインを安く手に入れられるのは幸福なことであると思う。村上春樹の随筆でイタリアの農園にクルマでワインの買い付けに行く話があったけれど、あれにはとてもあこがれた。自分もいつかはそういうことをしてみようと思っていたところ、去年はマルトモ商店で安いワインが大量放出されていたので、ママチャリでまとめ買いしに行った。たぶん1箱12本で5箱くらいを買ったと思う。村上春樹は確か奥さんの運転でランチアで買い付けにいったんだっけ?「村上春樹=ランチア=イタリアの農園」というのと「私=ママチャリ=都島のマルトモ商店」というのはあまりにもその落差がすごい。マルトモ商店はすばらしい店だし、ワインもステキだったので、問題があるのは私とママチャリの方なのだが・・・。
世の中にはワイン通といわれる人たちがいて、そういう人たちは少なくとも何千円のクラス以上のワインしか飲まないようである。私はその逆を行くような具合で何百円のものしかのまない。かといって不味いものはキライである。かといって「高くて美味い」は当たり前ではないか。「安くて美味い」というものを探し出すところに自分の中の大阪と香港のスピリットがふつふつと騒ぎ出すのである。
北京に居た頃は「北戴河」というワインを良く飲んだ。「北戴河」というのは地名で、北京から少し離れた場所にある。中国共産党の高級幹部たちの別荘地であると知られているが、元は清末に西洋人が避暑地として利用したところから始まる中国のリゾート地である。たぶんその西洋人たちがワイン作りを始めたのだろうか?この北戴河ワインは異常なまでに美味いワインであったけれど、今は全く見当たらない。確か1本20元くらいだったか。噂に聞けば大手の中国ワインメーカーに買収されて、ブランド名も失われたのだ・・・という話だったが、全く惜しい事をしたものだと思う。
その北京に居た頃に、留学生の間で、一つ騒動があった。留学生は日本全国のいろんな土地からやってきているのだが、みんなで夜に酒を飲んでいると、誰かが「米はどこの産が一番美味いか」という話をし始めたのである。私はそんなことはどうでもいいと思っていたのだが、これは好きなプロ野球チームや信仰している宗教、支持政党などのネタが含んでいるのと同じかそれ以上の危険性を含んだ話題なのであった。東京・大阪の人はほとんど無関係なのでそばで見ているだけだったが、米どころの人たちというのはかなり熱く激しく盛り上がり、最後は殴り合いのケンカにまでなるのだった。他の外国人留学生からすると、普段温厚な日本人がどの米が美味いかというぐらいの話題で殴り合いの暴力沙汰まで引き起こしてしまうのは、かなり奇異に思ったに違いない。
ただ、そういう中に一人北海道の人がいて「一番美味い米は・・・キララだと思う」と、ぼそっとつぶやくと、それまでいがみ合っていた米どころ出身者一同が大笑いをはじめ「北海道の米が美味いわけないだろ!」と口々に罵るのであった。北海道出身者の説明によれば「米の値段というのは農林水産省が決めているもので、それは味とはほとんど関係なく産地によって決められている。北海道は努力を重ねて寒い土地でも美味しい『きらら』を作り出したが、北海道米は農林水産省が決めた米価の中では不当に低い地位にあるので、結果的にきららは安くて美味い米なのである」・・・という話であった。
日本に帰ってからすぐにきららを食べてみたが、結構悪くない米である。もっと評価されてもいいのではないか・・・と思ったが、基本的に大阪の水には馴染まないのかも知れない・・・というのが素直な感想である。以前新潟の米を新潟の水で炊いてみたが、これがとびきり美味しかった。その後で新潟の同じ米を東京の水道水で炊いて見たが、全く違う味になってしまったのであった。
いつもながら枕の長い私の話だけれど、ワインの世界もそんなものであろう、という結論である。値段=味ではなくて、そこには産地のブランドによる過剰評価もしくは不当評価が介在しているのである。そういう視点で考えた場合、国際的に評価されていない地域のワインを購入すれば、安くて美味いものにあたるはずなのである。
90年代初頭というのは、社会主義国がばたばたと倒れて、外貨獲得のために、いろんなものを海外に流してくれていた。当時から安物ワインファンの私として、当時はとても幸福な時期であった。家の近所の酒屋でもロシア、ハンガリー、ルーマニアなどのワイン(それに加えて北アフリカの何処かのワインあったと思う)が、何百円で手に入ったのである。ロシアワインはまるでウォッカのような口当たりで面白かった。たった300円だった。トカイワインが600円程度で手に入った時期もあった。どれもこれもステキなワインだった。
今回入手した「ポモリエ」はブルガリアのワインである。調べてみるとこのワインはヒュー・ジョンソン氏が「ポケットワインブック」で2つ星を付けた・・・というものであるらしい。
ポケット・ワイン・ブック 第8版 (ハヤカワ・ワインブック)
著者/訳者:ヒュー ジョンソン Hugh Johnson
出版社:早川書房( 2009-07-25 )
定価:¥ 4,725
Amazon価格:¥ 4,725
単行本 ( 504 ページ )
こういうワインが2本850円で売られているのは、ある種の犯罪のような気がしてくる。あまりにも不憫なブルガリアンワイン!でもお陰様でしばらくは幸福なワイン生活を送れそうである。




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