2009.12.10
【夜上海騎行・後編】トランジット7、ついに黄浦江を渡る!
南浦大橋へ向ったのは渡船に乗るためである。以前上海長期滞在時に「上海黄浦江渡船主要一覧」を作って以来、上海渡船完全制覇の野望は全うすることなく、この2年中断したままになっている。あの調査行の時に大半の渡船には自転車(OCR3300)と一緒に乗ったものの、それっきりで、夜の騎行に渡船を使う事はなかった。
どうしても、夜に渡船を使って浦東も含めたコースで走ってみたかったのだ。そんなことは大阪の大正区でも出来るではないか?といわれるかも知れないが、大正区の渡船は店じまいが早く、しかも距離が短いし、別段渡船が無ければ行けぬ・帰れぬというわけではない。浦東の場合、自転車は渡船でしか渡れないし、黄浦江は尻無川よりも木津川よりも大きい。夜風に吹かれて自転車と共に黄浦江を渡り上海を縦横無尽に疾走する・・・というのが私の密かな願いだったのだ。
満を持して今夜、「愚者の夢」が完成する。
その「愚者の夢」を、トランジット7で完成させることが出来るというのは、非常にうれしい。
トランジット7は悲しき「プアマンズモールトンバイク」であるものの、やはり自転車生活を本格的に始めた時の最初の一台だったので彼にかける愛情も大きい。少し前にブリヂストンはトランジット7の生産を辞めてしまい、2chのトランジット7スレも随分前に無くなってしまったが、まだ愛用者が多い自転車ではないかと思う。
渡船の船着場で開門を待つ。周りにいるのはエンジン付きか電チャリばかりで、正統なる「自転車」は私だけである。ある者は「なんでこいつ自転車なんだ?」とせせら笑い、ある者は「なんか普通の自転車じゃないなぁ・・・」と訝しげに見ている。
船が岸を離れて黄浦江を渡り出した時にはものすごく感動した。たぶん今年一番思い出に残った瞬間だ。「トランジット7、黄浦江を渡る!」・・・たぶん黄浦江を渡った歴史上初のトランジット7なのではないか。
トランジット7を知らない人のために説明しておくと、この自転車はブリヂストンが最近まで作っていたアルミ製折り畳み自転車である。前後サス装備、7段変速、折りたたみの割には大きめのタイヤで20インチを履いている。ブリヂストンは車載用自転車としてこれを作ったらしい。前後サスでデコボコの多い上海の道も気持ちよく走れるし、20インチのタイヤというのは走り出しが軽く、小さすぎないので速度がある程度つくと気持ちよく走れるからゴー・ストップの多い市街地でも楽である。ただし強度重視のブリヂストンなので重量は13kgもある。デフォルトではギアが低速重視なので別のものに交換し、長時間走行に備えてサドルをジェル入りのものに換えてある。
自転車と夜の黄浦江を渡って浦東へ・・・この瞬間をどれほど待ち望んだ事か。
他人にとってはどうでもいいようなことであろうけど、夜の上海を自転車で縦横無尽に走りまくるのは、2年前の私の願いだった。ささいな運命の掛け違えで、上海に家があり自転車がありながらも、離れて大阪に住むという状態が続き、達成することができなかった。船上にてこの2年のことを思い出す。黄浦江の夜風に吹かれていると、今までのことがまぼろしであったかのように思えてくる。
浦東へ到着。時計を見るともうすぐ午前0時。帰りの船はあるのだろうか?
船着場でおじさんに聞いてみると「(北を指差して)あっちの方には幾つかあるよ、大丈夫だって」という。以前このブログで渡船の時刻表をまとめた際には、24時間営業の渡船は3つあった。少し不安ながらも、片っ端に船着場を回れば大丈夫だろうと思って走り出す。
意外と簡単に見つけてしまった。東東線(東昌路-東門路)である。この写真は渡りきって浦西側に帰って来たところで撮影したもの。東昌路の船着場についたら、ちょうど船が出ようとしていた瞬間だったので急いで駆け込んでしまい浦東側の写真は撮っていない。
全くわかりにくい写真ではあるが、これは外白渡橋(ガーデンブリッジ)の上で撮影したもの。後ろに見えるのは悪趣味で有名な浦東の高層建築。たぶん外白渡橋を渡った史上初のトランジット7である。
帰り道は四平路を北上し、大連西路をつたって水電路に抜け、共和新路へ入って家に戻った。虹口に入ってからは特に見るべきものも無く、広くて走りやすいながらもさみしい道が続く。昔上海に住んでいた頃、このあたりをあてもなくよく走ったことを思い出した。家に帰り着いてサイコンを見ると、全走行距離53kmくらいだった。
帰ってきてからのビールが美味い。この夜は青島ビールに、つまみはわさび味のポテトチップス。今回上海に戻って初めてこのわさびチップスをみつけたのだけれど、これは中国産なのだけれど、「和の心」に触れる素敵なテイストである。
上海の交通事情は「魑魅魍魎がどんちゃん騒ぎをする阿鼻叫喚の無法地帯」と例えられると思うけれど、きちんと安全対策をして、夜9時以後で、ルートさえちゃんと掴んでいれば、上海を走るのはとても楽しい。渡船を利用すれば変化もつけられて飽きないし、広い範囲で走ることが出来る。街全体がサイクルロードみたいである。
いつの日か、上海人がこのことに気付いて、夜の自転車道に無数の自転車人が疾走することになるかも知れない。そうなると、夜にもまた阿鼻叫喚が出現することになるので困るものの、当分彼らがこの夜の快楽に気付きそうな気配はない。次に上海へ戻る時は存分に走りまくろうと思っている。












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